EHS法規制動向

ベトナム政府は、2025年6月9日、温室効果ガスの排出削減およびオゾン層保護に関する政令第06/2022/ND-CP(2022年1月7日公布)の一部条項を修正・補足する政令119/2025/ND-CPを公布した。本政令は2025年8月1日より施行される。
以下は、本政令の主な改正ポイントである。
適用対象の拡大
本政令は、国内のカーボン市場に参加する組織・個人に加え、カーボン市場の組織・開発、国内外のカーボンクレジットの取引・相殺メカニズムに関与する主体を適用対象に含める。これにより、大規模排出事業者に加え、金融機関や仲介業者などの市場参加者も規制対象となる。
温室効果ガスインベントリ報告
対象事業者は、2年に1回、過去2年間分の温室効果ガス排出量を含むインベントリ結果を報告する義務があることが明確されている。
排出削減報告書
首相決定第13/2024/QĐ-TTgに定められるGHGインベントリ対象施設は、前年度の温室効果ガス排出削減報告書を作成し、2027年以降は毎年3月31日までに省人民委員会へ提出しなければならない。
割当枠の配分に関する規定
本政令には、排出枠の配分に関する段階的スケジュールを明確化している。対象期間は2025~2026年、2027~2028年、2029~2030年であり、火力発電所、鉄鋼製造施設、セメント製造施設が中心となる。商工省および建設省は、対象施設のリストおよび年間の配分量を更新し、農業・環境省へ報告する。特に、2027~2028年には適用産業を拡大し、2029年以降の全国カーボン取引所運用に向けた基盤を構築する。
カーボン取引所の運用
本政令は、ベトナムにおけるカーボン市場設立・発展計画に関する首相決定232/QD-TTg(2025年)のに基づき、全国カーボン取引所の運用スケジュールを具体化している。排出枠・カーボンクレジットの取引、借入、返還、移転、相殺などの仕組みが整備され、国内におけるカーボンクレジットの取引・相殺メカニズムが制度化される。
HCFCおよびMethyl Bromideの取扱い
HCFC物質の取り扱いは2040年1月1日より全面的に廃止される。但し、Methyl Bromideについては、燻蒸および検疫用途に限り輸入が認められる。加えて、対象物質の製造・輸入に関する割当枠の配分が明確化されている。
本政令の原文は以下のURLよりダウンロード可能である。